固定資産税の通知書を毎年受け取っていても、「軽減措置を受けられているのかどうかわからない」という方は多いです。制度の種類が多く、申請が必要なものと不要なものが混在しているため、理解しにくいのが現状です。

特に注意が必要なのが、固定資産税の軽減措置は遡って還付されないということです。申請期限を過ぎてしまうと、その年度の軽減は受けられなくなります。「知らなかった」では手遅れになるケースがあります。

⚠️ 最重要:申請し忘れると還付されない
所得税の確定申告と異なり、固定資産税の軽減措置(特にリフォーム減額)は申請期限を過ぎると遡って適用することができません。リフォーム後3ヶ月以内などの期限が定められているため、早めの確認と申請が不可欠です。

0まず全体像を把握する ─ 軽減措置一覧表

凡例: 申請不要 自動適用(ただし変更時は届出が必要な場合あり) 条件付き申請 多くの自治体では不要だが要確認 申請必要 期限内に必ず申告が必要
▼ 固定資産税の主な軽減措置 申請要否一覧(2025年版)
軽減措置の種類 対象 軽減内容 申請の要否 申請期限
住宅用地特例(小規模) 土地(建物あり) 固定資産税 1/6
都市計画税 1/3
原則 申請不要 変更時のみ届出
住宅用地特例(一般) 土地200㎡超の部分 固定資産税 1/3
都市計画税 2/3
原則 申請不要 変更時のみ届出
新築住宅の半額特例(一般) 建物(新築) 建物 固定資産税 1/2
(戸建3年・マンション5年)
多くの自治体で申請不要 翌年1月31日まで(要確認)
長期優良住宅の新築特例 建物(新築・認定) 建物 固定資産税 1/2
(戸建5年・マンション7年)
申請必要 翌年1月31日まで
耐震リフォーム減額 建物(改修後) 建物の固定資産税 1/2
(翌年1年間・120㎡まで)
申請必要 工事完了後3ヶ月以内
バリアフリーリフォーム減額 建物(改修後) 建物の固定資産税 1/3
(翌年1年間・100㎡まで)
申請必要 工事完了後3ヶ月以内
省エネリフォーム減額 建物(改修後) 建物の固定資産税 1/3
(翌年1年間・120㎡まで)
申請必要 工事完了後3ヶ月以内
長期優良住宅化リフォーム減額 建物(改修後) 建物の固定資産税 2/3
(翌年1年間・120㎡まで)
申請必要 工事完了後3ヶ月以内

1【申請不要】住宅用地特例(土地):1/6・1/3軽減

住宅が建っている土地の固定資産税が
自動的に 1/6(または1/3)に軽減される
申請不要
小規模住宅用地(200㎡以下)
固定資産税:1/6 に軽減
都市計画税:1/3 に軽減
一般住宅用地(200㎡超の部分)
固定資産税:1/3 に軽減
都市計画税:2/3 に軽減

住宅(居住用建物)が建っている土地には、面積を問わず自動的に適用されます。更地にすると特例が外れて固定資産税が最大6倍になるため注意が必要です。すでに住宅が建っている方は申請不要ですが、新築・更地・用途変更・取り壊し時には「住宅用地等申告書」の提出が翌年1月31日までに必要です。

💡 「自動適用」だが変更時は届出が必要
既存の住宅地については届出不要で継続適用されます。ただし「更地にした」「建物を取り壊した」「用途を変更した(店舗→住宅など)」場合は、翌年1月31日までに住宅用地等申告書の提出が必要です。提出しないと過大課税になったり、逆に軽減が外れないままになる場合があります。

2【多くは申請不要】新築住宅の半額特例(建物)

新築した年から一定年間、建物の固定資産税が
床面積120㎡まで 1/2 に軽減される
多くの自治体で申請不要
一般の戸建住宅(新築)
固定資産税 1/2 × 3年間
(3階建て以上耐火・準耐火は5年間)
新築マンション(3階建て以上の耐火・準耐火)
固定資産税 1/2 × 5年間

適用条件:床面積50㎡以上280㎡以下(令和8年3月31日までの新築が対象)。多くの自治体では新築完了時に自治体が把握し自動適用しますが、申請が必要な自治体もあるため、お住まいの市区町村に確認が必要です。

例:評価額1,000万円・120㎡の新築戸建て
年14万円 → 7万円
3年間、毎年7万円の節税効果(3年合計21万円)
長期優良住宅(認定あり)の場合
5年間 1/2 軽減
認定取得で2年延長。ただし申請が別途必要(次章参照)

3【申請必要】長期優良住宅の新築特例

長期優良住宅の認定を受けた新築は
減額期間が戸建で5年・マンションで7年に延長される
申請必要
認定長期優良住宅(戸建)
固定資産税 1/2 × 5年間
(一般新築より2年長い)
認定長期優良住宅(マンション)
固定資産税 1/2 × 7年間
(一般新築より2年長い)

申請期限:新築した年の翌年1月31日まで(1月1日新築の場合はその年の1月31日まで)。必要書類:固定資産税減額申告書+長期優良住宅の認定通知書の写し。申請しないと一般住宅と同じ3〜5年の軽減になってしまいます。

4【申請必要】耐震リフォームの減額

旧耐震基準(昭和56年以前)の住宅に
耐震改修を行うと翌年の固定資産税が 1/2 に
申請必要(工事完了後3ヶ月以内)
軽減内容
建物の固定資産税 1/2 軽減
(翌年1年間のみ・120㎡まで)
主な要件
・昭和57年1月1日以前の建築
・現行耐震基準への適合工事
・工事費用が50万円超であること

申請先:市区町村(役所の固定資産税担当窓口)。主な必要書類:①固定資産税減額申告書 ②増改築等工事証明書または住宅耐震改修証明書 ③工事請負契約書等(費用が50万円超であることを証明)。適用は一つの建物に一度だけです。

📌 耐震リフォームと他のリフォーム減額の関係
耐震リフォームとバリアフリー・省エネリフォームを同一年度に申請することはできません。ただし、耐震リフォームと省エネリフォームを同時に行い「長期優良住宅化リフォーム」として申請する場合は別途扱いになります。

5【申請必要】バリアフリーリフォームの減額

高齢者・障害者が居住する住宅に
バリアフリー改修を行うと翌年の固定資産税が 1/3 に
申請必要(工事完了後3ヶ月以内)
軽減内容
建物の固定資産税 1/3 軽減
(翌年1年間のみ・100㎡まで)
主な要件
・築10年以上の居住住宅
・要介護・要支援認定者、高齢者(65歳以上)または障害者が居住
・工事費(補助金控除後)50万円超

対象工事例:廊下・出入口の拡張、階段の勾配緩和、浴室改良、手すりの設置、段差解消、滑りにくい床材への変更、出入口の扉の改良など。 主な必要書類:①固定資産税減額申告書 ②工事費用が確認できる書類 ③対象者が居住することを証明する書類(介護保険証等)。

6【申請必要】省エネリフォームの減額

窓の断熱改修を中心とした省エネリフォームで
翌年の固定資産税が 1/3 に
申請必要(工事完了後3ヶ月以内)
軽減内容
建物の固定資産税 1/3 軽減
(翌年1年間のみ・120㎡まで)
主な要件
・平成26年4月1日以前の建築
窓の断熱改修が必須(複層ガラス・内窓追加等)
・工事費(補助金控除後)税込60万円超
・床面積50㎡以上280㎡以下

対象工事:①窓の断熱改修(必須) ②天井・壁・床の断熱改修 ③太陽光発電設備の設置 ④高効率給湯器の設置 ⑤高効率空調機の設置など。「窓の断熱改修」がないと申請できません。 主な必要書類:①固定資産税減額申告書 ②省エネ改修工事の内容を確認できる書類・領収書。

7【申請必要】長期優良住宅化リフォームの減額

耐震+省エネ(または耐久性向上)のリフォームで
長期優良住宅の認定を受けると翌年の固定資産税が 2/3 に
申請必要(工事完了後3ヶ月以内)
軽減内容
建物の固定資産税 2/3 軽減
(翌年1年間のみ・120㎡まで)
主な要件
・耐震改修または省エネ改修と
 併せて耐久性向上改修を実施
・改修後に長期優良住宅の認定を取得
・単独の長期優良住宅化改修では不可

長期優良住宅の認定には、耐震・省エネ・耐久性・維持管理など複数の基準を満たす必要があり、インスペクション(住宅診断)の実施も必要です。リフォーム会社と事前に計画を立てることが重要です。他のリフォーム減額より軽減率が高い(2/3=33%減)のが特徴です。

8申請の共通ルール・よくある失敗

リフォーム減額の申請ステップ(共通)

1
工事前に申請要件を確認する
要件を満たさないと申請できません。工事費の下限(耐震50万円超・省エネ60万円超など)、建物の築年数・床面積・居住者の状況を事前にチェック。
2
工事施工・完了
リフォーム会社に「増改築等工事証明書」の発行を依頼(建築士が在籍する施工会社のみ発行可)。工事請負契約書・領収書なども保管しておく。
3
市区町村に書類を提出 ⚠️ 工事完了後3ヶ月以内
固定資産税担当窓口(市区町村役所)に必要書類を提出。申告書の書式は自治体によって異なるため、事前に窓口または自治体ウェブサイトで確認。
主な必要書類:①固定資産税減額申告書 ②増改築等工事証明書 ③工事内容を確認できる書類・領収書 ④補助金受給があれば補助金通知書
4
翌年度の固定資産税通知書で減額を確認
正しく申請されていれば、翌年度の通知書に減額が反映されます。反映されていない場合は速やかに担当窓口へ問い合わせましょう。

よくある失敗・見落としポイント

  • !「3ヶ月以内」を知らずに過ぎてしまう。リフォームの固定資産税減額は工事完了後3ヶ月以内が期限。所得税の確定申告(翌年2〜3月)と混同して遅れるケースが多いです。
  • !「増改築等工事証明書」を発行できない業者に頼む。この証明書は建築士が在籍する施工会社しか発行できません。施工前に発行できることを確認しておきましょう。
  • !工事費の計算を間違える。補助金や助成金を受けた場合は、補助金を差し引いた額が規定費用以上であることが条件です。補助金を差し引くと下限を下回るケースがあります。
  • !省エネリフォームで「窓の断熱改修」を省いてしまう。省エネリフォームの減額は窓の断熱改修が必須です。他の設備だけ更新しても申請できません。
  • !耐震とバリアフリー・省エネを同年に申請しようとする。耐震リフォームと、バリアフリー・省エネリフォームを同一年度に併用申請することはできません。
  • i新築住宅の半額特例を自動適用だと思い込む。多くの自治体は自動適用ですが、申請を求める自治体もあります。必ずお住まいの自治体に確認を。
  • i住宅用地特例の変更届出を忘れる。更地にした・取り壊した・用途を変えた場合は翌年1月31日までに届出が必要です。しないと軽減が外れず過大課税が続くことも。

9まとめ:申請忘れは還付されない

固定資産税の軽減措置は、「知らなければ損をする」制度です。特に申請が必要なリフォーム減額(耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化)は、工事完了後3ヶ月という短い期限内に申請しなければならず、過ぎてしまうと遡及的に還付されません。

一方で、住宅用地特例(土地の1/6軽減)は多くの場合申請不要で自動適用されています。ただし「更地にする」「取り壊す」「用途を変更する」といった変更時には必ず届出が必要です。

この記事のポイントまとめ
  • 住宅用地特例(土地 1/6・1/3軽減)は原則申請不要。ただし変更時は翌年1/31までに届出が必要
  • 新築住宅の半額特例は多くの自治体で申請不要だが、長期優良住宅の場合は申請必須(翌年1/31まで)
  • 耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化リフォームの減額は全て申請必要。期限は工事完了後3ヶ月以内
  • 申請期限を過ぎると遡及還付されないため、リフォーム計画の段階から申請を意識する
  • 省エネリフォームは「窓の断熱改修」が必須。耐震と省エネ・バリアフリーは同年に申請不可
  • 申請書は自治体ごとに書式が異なる。事前に窓口・ウェブサイトで確認すること

「自分の家は減額を受けられている?」を確認したい方へ
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