毎年届く固定資産税の納税通知書をよく見ると、「固定資産税」と「都市計画税」の2つが記載されていることがあります。「これはいったい何の税金?」「固定資産税と何が違うの?」という疑問を持つ方も多いです。

都市計画税は固定資産税とよく似ていますが、課税される地域・税率・住宅用地の軽減倍率がすべて異なります。この違いを理解することが、節税漏れを防ぐ第一歩です。

1都市計画税とは何か ─ なぜ固定資産税と一緒に請求されるのか

都市計画税とは、市街化区域内の土地・建物を所有する人に課される地方税(目的税)です。道路・公園・下水道の整備など、都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てることが目的とされています。

固定資産税が「道路整備などの財源に」と使い道が制限されない「普通税」であるのに対し、都市計画税は使い道が都市計画事業に限定された「目的税」です。このため、市街化区域内(都市が整備された地域)の不動産所有者にのみ課税されます。

💡 市街化区域とは
都市計画法で定められた「すでに市街地を形成している区域、またはおおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域」のことです。都市部・郊外の住宅地の多くが該当しますが、農村部・山間部・市街化調整区域には都市計画税がかかりません。自分の土地が市街化区域かどうかは市区町村の都市計画課で確認できます。

固定資産税と都市計画税は、同一の納税通知書で一括請求されます。4期(4〜6月・7月・12月・翌年2月頃)に分けて納付するのも共通です。

2固定資産税との3つの大きな違い

固定資産税
毎年1月1日時点の
固定資産所有者全員
課税対象
土地・家屋・償却資産(全国どこでも)
税収の目的
使途を限定しない「普通税」
標準税率
1.4%(全国一律が基本)
課税する地域
全国の土地・家屋・償却資産
都市計画税
市街化区域内の
土地・建物所有者
課税対象
土地・家屋のみ
償却資産は課税されない
税収の目的
都市計画事業費に充てる「目的税」
制限税率
0.3%以下(自治体が条例で設定)
課税する地域
市街化区域内の土地・家屋のみ
▼ 固定資産税 vs 都市計画税 比較一覧
比較項目 固定資産税 都市計画税
性格 普通税(使途自由) 目的税(都市計画事業費)
課税対象 土地・家屋・償却資産 土地・家屋のみ
償却資産は対象外
課税地域 全国 市街化区域内のみ
税率 1.4%(標準・全国一律が基本) 0.3%以下(制限税率・自治体ごとに異なる)
小規模住宅用地(200㎡以下)の軽減 課税標準額 × 1/6 課税標準額 × 1/3
一般住宅用地(200㎡超の部分)の軽減 課税標準額 × 1/3 課税標準額 × 2/3
新築住宅の減額(建物) あり(3〜7年間 1/2) なし
リフォーム減額(建物) あり(耐震・省エネ・バリアフリー等) なし(原則)
賦課期日・納付方法 同じ(毎年1月1日基準・4期分割)

3住宅用地の軽減措置:固定資産税と都市計画税で倍率が違う

住宅が建っている土地には「住宅用地の特例(課税標準の特例)」があり、固定資産税・都市計画税の両方が軽減されます。ただし軽減倍率が異なる点に注意が必要です。

土地の住宅用地特例
小規模住宅用地
住宅1戸につき200㎡以下の部分
(一般的な戸建て・アパートの多くが該当)
固定資産税
1/6
に軽減
都市計画税
1/3
に軽減
一般住宅用地
住宅1戸につき200㎡を超える部分
(広い土地や小規模住宅用地を超えた部分)
固定資産税
1/3
に軽減
都市計画税
2/3
に軽減
✅ 固定資産税より都市計画税の方が軽減が小さい
小規模住宅用地の場合、固定資産税は評価額の「1/6」に、都市計画税は「1/3」になります。つまり都市計画税は固定資産税より軽減倍率が低く(軽減が少ない)ことがわかります。更地にすると両方の特例が外れ、固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍になります。

アパートなど複数戸の場合は「賃貸戸数×200㎡」が小規模住宅用地の範囲になるため、広い土地でも全体が小規模住宅用地に収まることがあります。これが土地活用によるアパート経営の節税効果の一つです。

4建物(家屋)への軽減措置:都市計画税は対象外が多い

固定資産税には新築住宅の半額特例やリフォーム減額など、建物(家屋)への軽減措置が複数あります。しかし都市計画税にはこれらの建物への軽減措置が原則としてありません

軽減措置(建物)固定資産税都市計画税備考
新築住宅の1/2減額 あり
(3〜7年間)
なし 令和8年3月末までの新築が対象
長期優良住宅(新築) あり
(5〜7年間)
なし 固定資産税のみ延長される
耐震リフォーム減額 あり
(翌年1年間・1/2)
なし 旧耐震→現行耐震に適合させた場合
バリアフリーリフォーム減額 あり
(翌年1年間・1/3)
なし 高齢者・障害者居住の条件あり
省エネリフォーム減額 あり
(翌年1年間・1/3)
なし 窓の断熱改修が必須要件
長期優良住宅化リフォーム減額 あり
(翌年1年間・2/3)
なし 耐震+省エネ+耐久性向上が必要
耐震建替え(市街化区域等) あり(条件あり) 自治体条例で
対象の場合あり
東京23区等の独自軽減制度を確認
📌 「新築したから税金が半額」は固定資産税だけ
「新築すると3年間(マンションは5年間)固定資産税が半額になる」という有名な制度は、都市計画税には適用されません。都市計画税は新築後も通常の税率で課税されます。住宅購入・新築前の税負担シミュレーションには注意が必要です。

5具体的な税額の計算例

▼ 計算例:固定資産税評価額2,000万円・土地180㎡(小規模住宅用地)・市街化区域内の場合
前提:評価額2,000万円の土地、180㎡(200㎡以下なので全体が小規模住宅用地)、固定資産税率1.4%、都市計画税率0.3%
固定資産税(土地)
2,000万円 × 1/6 × 1.4%
約4.7万円
特例なしなら28万円→1/6で大幅軽減
都市計画税(土地)
2,000万円 × 1/3 × 0.3%
約2万円
特例なしなら6万円→1/3に軽減
合計(土地)
固定資産税 + 都市計画税
約6.7万円/年
特例なし(更地)なら34万円 → 約5分の1に

※上記は概算です。実際の税額は負担調整措置・自治体ごとの税率・端数処理により異なります。正確な計算は自治体窓口または税理士にご確認ください。

6よくある疑問 Q&A

農村部・山間部の土地は都市計画税がかかりますか?
市街化調整区域や都市計画区域外の土地には原則として都市計画税はかかりません。ただし、自治体の条例によって一部の区域に課税されているケースもあります。納税通知書に「都市計画税」の記載がなければかかっていません。
空き家になっても都市計画税はかかりますか?
はい、かかります。建物が存在する限り固定資産税・都市計画税ともに課税されます。ただし「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定されて勧告を受けると、住宅用地特例が外れ、固定資産税は最大6倍・都市計画税は最大3倍になります。空き家を放置するリスクはこの点にあります。
償却資産(機械・設備など)にも都市計画税はかかりますか?
かかりません。都市計画税の対象は土地と家屋のみです。固定資産税は償却資産にも課税されますが、都市計画税は課税されません。事業用設備を多く持つ事業者にとっては、固定資産税のみが発生するという違いがあります。
自分の物件が市街化区域内かどうかはどうやって調べますか?
最も簡単な方法は「固定資産税の納税通知書に都市計画税の記載があるか」を確認することです。記載があれば市街化区域内、なければ市街化区域外(または都市計画税が免除されている地域)の可能性が高いです。詳細は市区町村の都市計画課または固定資産税担当課に地番を伝えて確認できます。
都市計画税の税率は自治体ごとに違うのですか?
はい、違います。都市計画税の制限税率は0.3%ですが、各自治体が条例でこの上限の範囲内で税率を定めます。0.3%の上限で課税している自治体が多いですが、0.2%や0.15%など低い税率の自治体もあります。自分の物件がある自治体の税率は、市区町村のウェブサイトや納税通知書で確認できます。

7まとめ:納税通知書で都市計画税を確認しよう

固定資産税と都市計画税は「セットで請求される」ため一つの税金と思われがちですが、別々の税金です。特に「住宅用地の軽減倍率が異なる」「建物への減額制度が都市計画税にはない」という2点は、税負担を正確に把握するうえで重要です。

都市計画税がかかるかどうかは、物件が市街化区域内かどうかで決まります。農村部・山間部の物件では発生しないケースも多いため、固定資産税のみを払っているのか、両方払っているのかを納税通知書で確認しておきましょう。

この記事のまとめ
  • 都市計画税は市街化区域内の土地・建物のみに課税される「目的税」。農村部・市街化調整区域には原則かからない
  • 固定資産税(1.4%)と都市計画税(上限0.3%)は別の税金。セットで納税通知書に記載される
  • 償却資産(機械・設備等)には固定資産税のみ課税され、都市計画税はかからない
  • 住宅用地の軽減倍率が異なる:固定資産税は1/6(小規模)・1/3(一般)、都市計画税は1/3・2/3
  • 新築住宅の半額特例・リフォーム減額は固定資産税のみ適用。都市計画税は建物への減額措置が原則なし
  • 特定空き家・管理不全空き家に指定されると住宅用地特例が外れ、固定資産税は最大6倍・都市計画税は最大3倍になる

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