査定価格が高い仲介業者が良いわけではない
仲介業者によって、どうして査定価格が違うのか?高ければ良いのか?
「不動産の売却査定は、複数の仲介業者へ依頼しましょう。」
と、よく言われます。もちろん、それはそうなんですが、複数の業者へ売却査定額を依頼すると、それぞれが異なった査定価格となるのが一般的です。
不動産の査定方法には、いくつか種類がありますが、居住用物件の査定をする場合には、「事例比較法」という手法で査定価格を算出するのが一般的です。
「事例比較法」とは、付近の成約事例から、査定する家の土地の価格を算出し、一戸建てについては、建物構造ごとの耐用年数から経過年数に応じた減価をして計算するという方法です。
マンションの場合は、同一マンション、もしくは近くのマンションから、査定物件の広さ、築年数、バルコニーの向きなどなど、加点減点をして計算します。
この事例比較法では、成約事例からの算出となりますので、どの業者も、まず同一の成約情報からの計算となりますので、査定価格が大きく異なることはないはずです。
なのに、どうして業者によって、査定価格が大きく異なるのでしょうか?
そこには、売主の心理を突いた業者の思惑が見え隠れしているように思えます。
それは・・・・・・
複数の仲介業者に査定依頼をしたとき、最も低い査定価格の業者に対して、所有者であるあなたは、どういう感じを抱くでしょうか?
「この業者は私の家の価値を理解していない!」「売却に自信がないのでは?」とふつうは思ってしまうのではないでしょうか?
逆に、最も高い査定価格の業者には好印象を持つようです。
しかし、査定価格=必ずその値段で売れる価格 ではありません。
あくまで、査定価格=当初の売り出し価格となることが多く、結局相場よりも高い値段では売れることもなく、業者から、いろいろな理由(思ったより相場が冷え込んでいるとか、社会の情勢が・・とか)をつけられて、売り出し価格を下げるように勧められることになるのです。
「査定価格」に対する業者の責任は無いのか?と思うでしょう。
(知っていて高い査定価格を出すのは)職業人としてのモラルには反するかもしれませんが、法的な違法性はありません。そして、そういう意味では責任もありません。
高い査定価格に気を良くした所有者が、そうした業者に売却依頼をしてしまい、結果的に損をするはめになるのです。
業者は、「高く査定をして所有者に気に入られ、売却依頼(媒介)を得ようとしている」のです。
徐々に価格を下げているということは、結果的に成約まで時間がかかり(時間がかかるということは、その間の建物の減価や税金負担が増えるということです)、相場が下がり傾向なときには、当初、売れたはずの価格でも売れない状況になってしまうのですから。
なので、ふたを開けてみると、査定価格が最も低い査定価格を出した業者が、本当は最も良心的だったりして。
仲介業者に売却活動依頼(媒介契約)をする場合には、客観的に自分の家の価値をみるようにし、査定した業者には、その査定の根拠をしっかりと聞いて、あなたが納得のいく回答をした業者に依頼するのが、得策だと思います。