不動産売買仲介のビジネスモデルを突き詰めると、「誰の立場に立つか」によって収益の安定度が大きく変わります。買い客(購入希望者)を集めることに力を注ぐ会社は多いですが、実は売主側に立ち、売り物件を預かることこそが仲介業の安定経営の核心です。

「売り物件を制する者が、仲介を制する」——この原則を理解しているかどうかが、仲介業者の長期的な成長を左右します。本記事では、その理由と、実際に売り物件を確保していくための注意点を整理します。

💡 この記事で得られること
元付け(売主側)に立つことのメリット、売り物件確保のための信頼構築の方法、正しい媒介契約の取り方まで、仲介業の経営に直結する実務知識を体系的に解説します。

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「元付け」と「客付け」——どこが違うのか

まずは基本的な用語の整理から始めましょう。仲介業の現場では「元付け」と「客付け」という言葉が頻繁に使われますが、この違いを正確に理解することが重要です。

✅ 元付け(売主側)
売主から直接売却依頼を受け、物件を預かる立場。買い客はレインズを通じて他社からも集まるため、主導権は自社にある。
❌ 客付け(買い客側のみ)
他社が預かった物件に買い客を紹介する立場。紹介できる物件は他社次第となり、常に「物件を探す」状態に追われる。

両者の最大の違いは、主導権がどちらにあるかです。元付けであれば、買い客はレインズ(不動産流通機構)を通じて他社からも集まります。しかし客付けに徹してしまうと、紹介できる物件は他社次第となり、常に「物件を探す」状態に追われることになります。

両手 元付けなら最大で売主・買主双方から手数料
片手 客付けのみでは買主側からの手数料のみ
0 物件がなければ成約も手数料もゼロ

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売主側に立つことの最大のメリット

売主側に立つことの最大のメリットは、収益の安定と営業活動の効率化です。元付け業者として成約すれば、売主・買主双方から仲介手数料を受領できるケースもあります(両手取引)。

仮に片手であっても、自社で物件情報を持っていることで、営業活動の起点を自社に置くことができます。つまり、「物件があれば商売ができる」状態をつくれるのです。逆に物件がなければ、どれだけ買い客を抱えていても成約に至りません。

📌 不動産仲介の本質
不動産仲介は「物件ありき」のビジネスです。この本質を理解しているかどうかが、仲介業者の長期的な成長を左右します。買い客を集める前に、まず「売り物件を持つ」という発想が経営の安定につながります。

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売り物件を継続的に確保するために何をすべきか

では、どうすれば売り物件を継続的に確保できるのでしょうか。鍵は売主との信頼関係の構築です。売主が仲介業者に物件を任せる理由は、「この人なら安心して任せられる」という信頼感に尽きます。

① 日常的な情報提供と接点づくり

売り物件の確保は、物件が動く「その瞬間」だけの営業では間に合いません。地域の地主や資産家との日常的な接点を持ち、相場情報や税制の変化をわかりやすく伝え続けることで、「売る時はあの会社に頼もう」という信頼の蓄積が生まれます。

② 紹介・口コミネットワークの構築

既存顧客からの紹介は、最も質の高い売り物件情報の源泉です。成約後のアフターフォローを丁寧に行い、「売り時を迎えたら連絡する」という関係をつくることが、継続的な元付け案件の獲得につながります。

POINT 01

地域密着と情報発信

📋 アプローチ:地主・オーナー層への定期的な情報提供

地域の相場情報、税制改正の動向、類似物件の成約事例などを定期的に届けることで、「頼れる専門家」としての存在感を高めます。ニュースレターや個別訪問など、接点の作り方はさまざまありますが、継続することが最も重要です。売り時を迎えた地主が真っ先に思い出す業者になることが目標です。

POINT 02

既存顧客のアフターフォロー

📋 アプローチ:成約後も関係を続け、次の売り物件を生む

成約で関係が終わりではありません。購入後の住まいの状況確認、賃貸経営のアドバイス、売却タイミングの相談など、継続的なフォローを行うことで、買い替えや紹介という形で次の元付け案件が生まれます。「買った人が次の売主になる」という視点を持つことが大切です。


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正直な価格査定が、長期的な信頼をつくる

売主との信頼関係を構築するうえで、最初の山場となるのが価格査定です。売主は当然、少しでも高く売りたいと考えます。しかし根拠のない高値査定を提示して媒介契約を取ることは、長期的には信頼を損なう行為です。

「高値査定で媒介を取る」は短期的な手法に過ぎない
売れない価格で市場に出続けた物件は、やがて「問題物件」のように見られ、値下げを繰り返すことになります。結果として売主にも損失が生じ、業者への不信感につながります。「あの業者は高い値段を言うだけで売れなかった」という評判は、紹介の機会を永遠に失うことを意味します。

根拠を示す査定が信頼の出発点

相場データや類似事例をもとに、なぜその価格が適正なのかを丁寧に説明できる力が求められます。時には売主の希望価格と乖離があっても、根拠を示して誠実に伝えることが、結果として信頼獲得につながります。

核心:「あの業者は正直に話してくれる」という評判は、紹介や口コミという形で次の売り物件の獲得に直結します。正直な価格査定こそが、売主との長期的な関係の出発点です。
査定スタイル ❌ 高値査定で媒介を取る ✅ 根拠ある適正査定
短期的な結果 媒介契約は取れる 売主と認識を共有できる
売れ行き 値下げを繰り返す 適正価格でスムーズに成約
売主の評価 不信感・クレームの原因に 「頼れるプロ」として信頼される
長期的な影響 紹介・リピートが生まれない 口コミ・紹介で次の案件へ

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媒介契約の種類と収益への影響

売主から物件を預かる際、媒介契約の種類によって収益安定度が変わります。専任媒介・専属専任媒介を取得できれば、自社だけが売主の窓口となるため、情報管理と営業活動が一元化されます。

✅ 専任媒介・専属専任媒介
自社のみが売主窓口となるため、情報管理・営業が一元化。成約した際に手数料を得られる可能性が高い。売主への定期報告義務があり、関係構築にもつながる。
⚠ 一般媒介
複数業者が並走するため、他社が成約した場合は手数料ゼロ。情報の管理もしにくく、売主との接点も薄れやすい。

売主にとってのメリット(専属で動いてもらえる、情報管理ができる、定期的な報告がある)を丁寧に説明しながら、専任系の媒介契約を目指すことが収益安定の観点からも重要です。

✅ 専任媒介を提案する際のポイント
「窓口が一本化されることで、情報が分散せず、より多くのエネルギーを売却活動に集中できます」「定期的にご報告しますので、安心して任せていただけます」という売主目線の言葉で伝えることが大切です。

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売り物件が情報の好循環を生む

売主側に立つことで得られる副次的な効果として、地域における情報の集積があります。売り物件の情報を多く持つ業者は、地域の不動産情報のハブとなり、買い客からも問い合わせが集まりやすくなります。

💡 情報が情報を呼ぶ好循環
売り物件を多く持つ → 問い合わせが増える → 買い客が集まる → 成約率が上がる → 口コミ・紹介が増える → さらに売り物件が集まる。この好循環が生まれれば、地域密着型の仲介業者としての存在感が高まり、広告費をかけずとも自然と案件が集まる体制が整います。
  • 情報量の優位性 — 売り物件が多いほど、買い客への提案の幅が広がる
  • 問い合わせの質が上がる — 物件目当てで連絡してくる買い客は、購買意欲が高い
  • 地域のハブになる — 「あそこに聞けばわかる」という存在になることで、情報が自然に集まる
  • 広告費の削減 — 紹介・口コミで案件が来る体制ができれば、集客コストが下がる

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まとめ:発想を転換せよ

売主側に立つことの本質は、単なる「両手狙い」ではありません。物件情報という仲介業のインフラを自社に蓄積し、主導権を持って営業できる体制をつくることです。

買い客を追いかける営業から、売り物件を集める営業へ。この発想の転換が、仲介業者の経営を根本から変えていきます。そのためには、誠実な査定・丁寧な説明・長期的な信頼関係の構築が不可欠です。

📋 今すぐ取り組むべき3つのアクション

  • 地域の地主・オーナー層への定期的な情報提供を始める
  • 査定は根拠ある適正価格を誠実に提示する
  • 専任媒介のメリットを売主目線で説明できるようにする

売り物件の確保から始まる仲介業の安定経営。まずはお気軽にご相談ください。貴社の状況に合わせた具体的なアドバイスをご提案します。

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