「今期、しっかり利益が出たら給料(歩合率)を上げるから、もう踏ん張りしてくれ!」
不動産仲介会社の経営者の口から、よく出る言葉です。そしてその言葉を信じ、休日返上で案内を入れ、夜遅くまで契約書類を作り、見事に「創業以来の最高売上」を叩き出したエース営業マン。
社長は「よくやった!」と大喜び。しかしその翌月、社長のデスクに置かれたのは、感謝の言葉ではなく「退職届」でした。
「なぜだ? これから給料を上げてやろうと思っていたのに!」と頭を抱える社長。しかし、エース社員の退職は突発的なものではありません。そこには、不動産業界に蔓延する「業務の属人化」と、「エースへの教育丸投げ、または教育そのものの放棄」が生んだ、必然の結末があったのです。
「業務の属人化」と「教育の放棄」が生む必然の退職
エース社員の退職には、必ず共通のパターンがあります。それは「自分の力で最高益を出したのに、会社が次の組織作りに投資せず、自分の負担とリスクだけが未来永劫続いていくと悟ったとき」です。
理由① すべての業務を抱え込み、「自分が辞めたらこの会社は回らない」と確信した
不動産仲介業は、驚くほど業務が属人化しやすいビジネスです。最高益を叩き出すようなエース営業マンは、単に契約を取るのが上手いだけではありません。
- 地主や元付業者との、独自のルート(物件の仕入れ元)
- 他馬力では真似できない、顧客ごとのきめ細やかな追客ノウハウ
- ローン審査を通すための、金融機関との絶妙な交渉術
これらをすべて「自分の頭の中(ブラックボックス)」で完結させています。最高益を達成した瞬間、エース社員はこう確信します。「この会社の売上の大半は、会社のシステムではなく、自分の個人的なスキルと人脈で成り立っている」と。
理由② 属人化を放置し、周りが育たない環境に「未来はない」と見限った
優秀な営業マンほど、自分の業務が属人化している環境に、実は強いストレスと危機感を抱いています。
「自分が稼いだ利益で、属人化を解消するための仕組みを作ろうとせず、社長はただ売上を喜んでいるだけ」——この「組織としての脆弱さ」に絶望したとき、エースは退職を決意します。
「エースに教育させる時間はない」からこそ、外部「実務研修」を活用すべき3つの理由
かと言って、経営者側の本音としては「エース社員に後輩を教育させる時間はもったいない。そんな時間があるなら1件でも多く現場に出て稼いでほしい」というのが本音ではないでしょうか。
また、「名選手、必ずしも名監督ならず」と言うように、感覚で売れてしまうトップ営業マンほど、売れない人間の気持ちが分からず、教育が上手くいかないケースも多々あります。だからこそ、会社が費用を投じて「外部の不動産実務研修」を活用し、ミドル・ボトム層を育てるべきなのです。
エースの稼働(売上)を1ミリも落とさずに、組織の底上げができる
自己流ではない「業界標準の正しい実務・コンプライアンス」が身につく
反響(広告費)のロスが激減し、投資対効果(ROI)が最大化する
経営者が今すぐシフトすべき「仕組み」の形
もしあなたが経営者で、「エースに頼り切りだが、教育に割く時間もリソースもない」と感じたら、今すぐ以下の体制へシフトしてください。
- 教育は「外注(実務研修)」し、社内は「分業(仕組み化)」する 基礎的な営業スキルや実務知識のインプットは外部の研修機関に丸投げします。そして社内では、売上の低い営業でも成果が出やすいよう、「契約書の作成や役所調査などの事務作業」をサポート部門が巻き取るなどの分業制を整えます。
- エースには「背中」で見せてもらう エースに「教え方」を強要する必要はありません。外部研修で「理論」を学んだ後輩たちが、社内のエースの「実際の動き(実践)」を見ることで、研修の学びが何倍ものスピードで血肉化していきます。
まとめ:最高益のときこそ、未来の仕組みへの投資タイミングである
エース社員が辞めるのは、決まって「会社が苦しいとき」ではなく、「自分の力で最高益を出したのに、会社が次の組織作りに投資せず、自分の負担とリスクだけが未来永劫続いていくと悟ったとき」です。
彼らは急に裏切ったのではありません。最高益という結果で最後の義理を果たし、静かに去っていったのです。
📋 今日から実践できること
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